koenglishのブログ

福島県いわき市の民間企業で働く傍らひっそり英会話講師をしております。アメリカシアトルに5年間住んでいた帰国子女です。

読了 稲盛和夫の実学 経営と会計

 京セラ、KDDIを創業し、近年ではJALの事業再生まで成し遂げた稲盛和夫さんの企業会計に対する思想が詰まった1冊。

 大企業の経理職の立場として自分の仕事の立ち位置を再認識する上でも非常に参考になった。


 日々仕事をする上で、というより生きていく上で人間として正しいことをするというのが稲盛和夫さんのポリシーであり、それは京セラにも浸透している。会計も当然その中に含まれる。現物の動きに沿った一対一伝票システムはその典型であろう。


 また固定資産管理に従事する立場上、減価償却費に対する考えは非常に参考になった。

減価償却費はその設備が事業の用に供することが出来る期間内に渡り費用化することがその本質であるため、その設備がどのようなものであるか、どれくらい使用できるのかを根拠とした耐用年数の設定が必要となる。資産管理をしていると償却費が残ったまま、資産を廃却するというケースがたまにある。まだ焼却し、PL上で経費処理できる数字を残した状態での廃却であり、1円でも多く節税したい会社としては苦いことである。


 また、「資産か費用か」のバナナ売りの話はこの本の中で最も勉強になった。

バナナの叩き売りを道端でやるとしましょう。りんごの箱を300円、箱の中に入れる布を1000円、叩き売り用の棒を200円で購入して一式そろえる。バナナは1房50円のものを20房仕入れます。それを1房150円で売ります。粗利は100円です。幸いにも仕入れたバナナはその日のうちに全て売れ、3000円の売り上げが上がりました。ここで下記をみていきましょう(わかりやすくするため法人税50%とします)


商売道具が資産だった場合・・・売上3000円に対し費用が仕入れの1000円のため税引き前利益が2000円、支払う税金が1000円となります。


商売道具が費用だった場合・・・売上3000円に対し費用が仕入れの1000円+商売道具の1500円のため税引き前利益が500円、支払う税金が250円となります。



この場合資産か経費かで支払う税金が750円変わってくる。(もちろん極端な例だが)


この額を支払えるだけのキャッシュが会社にあることを経営者は認識していないといけないというのが稲盛の考えだ。

会社が期中に稼いだ金はBSの流動資産に蓄積されていく。ここの現金勘定には注意を払ってもらいたい。